離れた場所からリモート会議に参加する。
コロナ禍ではじまったこのスタイルは日常的な1コマになりましたが、できればキレイな映像で参加したい。
筆者はロジクール『C920n フルHD PRO』を1年ほど使用中ですが、どうも画質がいまひとつ。
解像度がフルHD(1080p/30fps)で、カメラの有効画素数が1500万画素なのに、なぜかは不明。
そこで、iPhone 13 ProとiPhone 12Proの2台持ちで、一方をカメラ撮影用スマホとして活用しているので、iPhoneのウェブカメラ化を考えてみました。
結果的には、ウェブカメラとは比べものにならないほどキレイな画質でリモート会議やビデオ通話ができるようになりました。
本記事では、iPhoneのウェブカメラ化の過程をご紹介します。
ロジクール『C920n フルHD PRO』の画質劣化と対策
C920n フルHD PROのスペックは以下のとおり。
主な仕様
・有効画素数:1500万画素
・自動HD光補正機能搭載
・視野角:78°
・マイク:ステレオマイク
・サイズ:7.1×9.4×4.33cm
・重さ:16g
1080Pとは1920×1080のこと。つまりフルHD画質で映し出すことができ、1500万画素のカメラは、iPhone 13シリーズのTrueDepthカメラが1200万画素なので、スペックでは上。
薄暗い場所でも明るさを最適化する自動HD光補正機能やフルHDガラスレンズ、プレミアムオートフォーカス/自動露出などにより、常に高解像度の映像を映し出してくれるわけで、本来なら何も問題なく快適に使えるはず。
でも筆者の使用環境では、1080Pではなく、720P(1280×720)のような気配。トップ画像にある左側のようなイメージです。
解像度の設定や調整はできないかと、ロジクールのサポートサイトで専用アプリを探してみても、M1チップ搭載のMac、macOS 12(Monterey)に対応していない。
唯一、公式アプリ「LOGI TUNE」だけ使うことができましたが、ズームや画角調整、ピントの固定、フィルター、音質調整などはできるものの、解像感を上げる操作はできませんでした。
なんとかならないものかと、あれこれリサーチしてみましたが、解決策は見つからず、でもキレイに映し出す環境をつくりたい。
そこで、iPhoneの活用を思いついたわけです。
ただ、あくまでも筆者の使用環境での話で、多くのレビューを見る限り評価の高い製品なので、どなたでも起こりうる事象ではないと思います。
iPhone12 / 13をウェブカメラに変身させるアプリ
そこで、2台持ちのiPhone 13 ProとiPhone 12Proをウェブカメラとして活用できるアプリを検索。
iPhoneとMacに対応している「Camo」「EpocCam」の無料版を試してみました。
いずれも、iPhoneとMacにアプリをインストール。Zoom、Meet、Teams、Skypeなどと連携して活用する仕組みは同じです。
Camoは無料版と有料版の使える機能の差が大きすぎた
最初に見つけたのがCamoでした。
公式サイトを見ると、機能は多彩に揃っていて“これは使えそうだぞ”と期待が膨らみましたが、解像度は1080pなのは有料版だけで無料版は720P。ほかにも、無料版と有料版の機能差が大きすぎてガッカリしました。
Wi-Fi接続の非対応、有料版がサブスク(12カ月39.99ドルなど)、買い切り79.99ドルと高額なこともガッカリの追加ポイント。
無料版でそこそこ使えて、搭載された機能をフル活用しようとお金を支払いアップグレードする、筆者の試用から実用へ移行するスタイルには合わなかったようです。
EpocCamは無料版でも十分、安価な有料版ならもっと便利に
EpocCamは、ウェブカメラやキャプチャーカード、ストリーミング機材などを手掛けるElgatoが開発したアプリ。
無料版でも、解像度が1920×1080 で、Wi-FiもしくはUSB接続が可能。
シンプルに、iPhoneのアプリで撮影している映像を、zoomなどでのリモート会議に使うだけなら問題なく活用できます。
ただ、画質調整など自分の顔に少し手を加えたり、ライブ配信やビデオチャットで楽しく遊びたいなら、890円で買い切りの有料版『EpocCam Pro』がおすすめです。
筆者も無料版で顔の映りなどを試して満足したので、すぐにEpocCam Proにアップグレードしました。
EpocCam Proは、iPhoneの画面をピンチしての拡大/縮小、手動でのフォーカス設定、鮮明なHDRの対応、ビデオ画質の調整、ウォーターマークの削除など、撮影中に映像のクオリティを上げることができ、iPhoneのマイクやライトが使えるようになります。
また、背景をぼかしたり、クロマキー、モノクロに変えるだけでなく、上の画像のように、自分自身をデジタルアバターに見立てて、さまざまなエフェクトを加えることができます。
何度か試してみましたが、ぼかしやクロマキーの背景は精度は高く、リモート会議では使うのを控えてしまうエフェクトも、家族や友人とのビデオ通話では話の盛り上げ役になったり、効果的に使うことができました。
さらに、Wi-Fiでつながっていることから、固定していたiPhoneを手に取り、アウトカメラに切り替えて、伝えたいモノを映して話を続けたり、自由に動きながら撮影できるのも大きなメリットに感じました。
使い方によっては、リモート会議だけでなく、オンラインで授業や料理動画の配信など、iPhoneとMacの連携で撮影・配信・保存することで、さまざまな用途で活躍しそうですね。
これが、たったの890円で実現できるわけですから、なんともコスパが高いアプリです。
iPhoneをモニター上に設置するために用意したモノ
基本的に、iPhoneをモニターの上に設置できるように、いくつかのアイテムを購入しました。
2年ほど前から利用している『 18インチLEDリングライト』を、高さ調節ができる『デスクカメラマウントスタンド』でデスクに固定。
リングライトにあるコールドシューに『スマートフォン三脚ホルダー 』を取り付けてiPhoneを設置しました。
モニターの上には、デスクライトの『BenQ ScreenBar Plus』、その上にロジクールのウェブカメラ『C920n フルHD PRO』がありますが、iPhoneをなるべくモニター上部の近くに設置して自分の目線が正面に映るようにしています。
ちなみに、上の画像は、EpocCam Proにデフォルトで入っている「ブロードキャスター」のエフェクトです。
上の画像は、デスクの天板に挟んで設置できる『スマホスタンドアーム』にiPhoneを取り付けて、縦位置で試し撮りをしたもの。
前述のリングライトに設置すると、ほぼ固定位置での撮影に限定されるので、アームを自由に動かしてアングルや構図を変えるのに便利かなと購入しました。
現時点ではそれほど活用していませんが、全長が120cmもあり、ホルダー部分は角度が自由に変えられ、20cmまで開くので11インチのiPadでも問題なく使えます。
挟んで固定する方法も力を加えることなく簡単にでき、8cmまで厚みに対応しているので、デスクだけでなくダイニングキッチンに設置して、俯瞰撮影をiPhoneで行うこともできそうです。
リモート会議では、iPhoneでEpocCam Proを起ち上げ、Macでzoomを起動→カメラ選択をEpocCamにして活用していますが、当初は撮影や背景の設定に戸惑いました。
2つのアプリで同じような設定方法が選べるからです。
いろいろと試しましたが、カメラの設定はEpocCam、背景はzoomで設定するようにしました。
たとえば、iPhoneのEpocCamでは、カメラの前後切り替えや画質の調整、ミラーリング、ズーミングなど。
zoomでは、登録しておいた背景画像を選択するだけ。EpocCam Proのエフェクトも合わせて活用できます。
ということで、EpocCam Proサイコーという感じです。
1万円弱のウェブカメラか、iPhoneなどのスマホか、コスパで考えればiPhone&スマホですよね。
でも、筆者のように2台持ちでなければ、撮影している間はスマホが使えなくなり問題かもしれません。
もし、使っていないスマホがあれば試して、筆者のようにトラブルが起こらなければウェブカメラにするですかね。
Source: ロジクール, Elgato