実は5年ほど前に1TBのHDDを内蔵した国内メーカーのNASを使用したことがある。
目的はMacのデータとiPhoneの画像や動画のバックアップ。でも、しばらくすると自動バックアップに不具合が出て、最終的には回復したものの、1度のつまずきでくじけてしまい放置してしまった。
あれば便利、なくてもなんとかなる。そのくらいの印象しかなかったからだ。
ではなぜ今回は導入することにしたのか? ここではその理由と、購入前の不安と購入後の後悔を解消するために確認したこと。メーカーとモデルの選定についてまとめてみた。
NASを導入することにした2つの理由
NASを導入する決め手になったのは作業効率を上げたかったから。
具体的には以下の2点が大きな理由になるので、課題とNASを導入すれば解決してくれるであろうと期待していることをまとめてみた。
外付けのSSDやHDD、クラウドストレージの使い分けに疲れてしまった
NASを導入しようと決めた大きな理由の1つ目は、ファイルやデータを整理しながら保存・バックアップしているつもりでも探しにくいし使いづらい。作業効率が悪いことでストレスを感じていること。
現状、外付けやクラウドのストレージの目的と活用は以下の通り。
- 外付けSSD / 2TB:MacBook Air / 512GBのバックアップ(Time Machine)
- 外付けHDD / 6TB:MacBook Airで作成した書類や画像、動画のバックアップ
- Backblaze(無制限):MacBook Airと外付けHDDをクラウドにバックアップ
- Google ドライブ(無料15GB):作成した原稿や画像をクライアントと共有・納品
- iCloud+(200GB):iPhoneの画像と動画、書類などのバックアップ
- Amazon Photos(無料 画像無制限):iPhone内の画像をフルサイズで自動バックアップ
※動画は5GBまで保存可能 - Yahoo! かんたんバックアップ(無料 無制限):iPhoneの連絡先・画像・動画の自動バックアップ
※1ファイル2GB以上のデータは保存不可 - iMazing(買い切り):MacBook Air上のアプリで指定の保存先に画像・動画・音楽・書類のほか、メッセージ・連絡先・通話履歴・メモ・などをバックアップ
MacBook Airのストレージが512GBあるので、外付けHDDに保存するのは作業が終了したデータのみ。現状3TB程度使用しているので残り半分の状態。
Time Machineでのバックアップは、MacBook Air本体のストレージの2倍以上が理想的と言われているので、2TBの外付けSSDを使用。
容量無制限のクラウドストレージ「Backblaze」は、MacBook Airと外付けHDDの両方のデータを完全自動バックアップ。
iPhone内の画像や動画は、「iCloud+」と無料のクラウドストレージ(Amazon Photos、Yahoo!かんたんバックアップ)に保存。Mac用アプリの「iMazing」でまるごとバックアップしたデータは外付けHDDに保存。
「Google ドライブ」は、外部とのデータ共有や外出先で必要とするデータを一時的に保存しておくために活用。無料の15GBでも困ることはない。
MacBook AirとiPhoneから続々と生まれるデータをいかに整理してスマートに保存・バックアップ・外部共有できるかが大きなテーマ。
外付け+クラウド+アプリで行っている煩雑な方法をNASであればシンプルな運用が簡単にできそうだし、ストレスフリーになるだろうというのが導入を決めるきっかけになった。
NASの方がクラウドストレージ(有料)よりコスパがよい
MacBook AirやiPhoneで作成されたデータをどれをメインにバックアップするか。
単純にNASかクラウドストレージ、これまでの通り外付けストレージの3択。今回は2択になる。
すべてのデータを有料のクラウドストレージサービスにすれば簡単・手軽・安全。ネットがつながる環境であればデータのやりとりが自由にできる。
その通りだけど、個人プランで5TB以上のクラウドストレージサービスは少ない。しかも、こちらは保存するデータ量は増え続ける。
- Microsoft 365 Family 6TB:年間2万1000円
- MEGA(ユーロ建て)8TB:年間3万1751円
- InfiniCLOUD 10TB:年間4万4000円
- iCloud+ 6TB:月額3900円=年間4万6800円
- Backblaze 無制限:年99ドル / 年間1万4000円
※ソースネクストで、1年DL版を7700円で販売
フリーランスにとってコスパは身を守る術なので、使用中の「Backblaze」だけもありかなと考えた。
「iMazing」で画像や動画などを外付けHDDに保存。MacBook Airと合わせて「Backblaze」でバックアップしているので、これだけでもバックアップという意味では問題がないと言えばない。
でも、NASはローカルネットワーク内での高速アクセスが期待でき効率的な作業ができる。
ファイル共有、メディアストリーミング、写真管理など多機能なアプリも使える。
そもそも「Backblaze」は、デバイスと同期してバックアップすることがメインのサービス。
Googleドライブ(Google Workspace)内のGoogleフォトはファイル共有、画像や動画のアルバム機能・自動分類などができるが最大で5TB。NASとは別物として考えた方がよさそうだ。
ということで、初期投資は必要だがランニングコストを考えればコスパが高いNASの導入を決定。しっかりリサーチしてから購入することにした。
【関連情報】
・MEGA
・InfiniCLOUD
・iCloud+
・Backblaze
理想を実現するのは、QNAPとSynologyのどちらなのか?
さて、購入すると決めてからは、ウキウキしながらリサーチを開始。
まずは自分がNASをどのように活用したいのかを考えて、希望に合致したモデルを探すことに。
もちろん予算感は想定しているが、最初から思考を狭めると買い物に失敗する恐れがあるので、やりたいことを叶えてくれるのはどれだ!という目線で時間をかけてみた。
オン&オフの多彩なデータを一括管理できるモデルにする
NASを導入してやりたいことは上記の画像のとおり.
NASでMacBook Airをまるごとバックアップしつつ、作業途中のデータを一時保存する外付けHDDもしくはSSDと同期。
作業が終了した原稿や画像・動画はNASにアーカイブして再利用も想定しつつ管理。
USBスティック、SDカードなどは必要に応じてデータをMacBook AirやNASに入れたり出したりするために活用。
iPhoneは画像と動画、ドキュメントなどのファイルをNASと自動同期。iMazingはいままで通り活用。
BRAVIAは、メディアサーバーなどを介して録画(ダビング)先としてNASを使用。
オンとオフに関わるほとんどのデータをNASで一括管理しつつ、外出先でも活用できるように構築する。
理想を叶える2大メーカーの特徴や個性を徹底比較
希望どおりにNASを運用するメーカーやモデルはどれなのか。
あれこれリサーチをしてみると、仕組みや機能などはほぼ同じでアプローチが違う2つのメーカーが見つかった。QNAPとSynologyだ。
それぞれの共通点と個性をリサーチした情報を基に簡単にまとめると次のようになる。
【共通点】
- どちらもNASキット(ケースタイプ)のモデルをラインナップ
- ファイル共有やバックアップなど基本的なNAS機能を提供
- アプリストアで目的に合わせた機能を拡張できる
- セキュリティ機能が充実している
- 省エネや静音性に配慮した自社設計のハードウェアを提供
【QNAP】
- CPUやメモリなどのスペックや拡張性が比較的高い
- 豊富なソフトウエアを揃えているが、初心者には難しいことも
- App Centerから多様なアプリの追加が可能。サードパーティー製が豊富
- クラウド連携機能が豊富で、外出先からのアクセスも容易
- 従来のRAIDシステムをサポート
- 日本語サポートはあるもののSynologyほどではなさそう
【Synology】
- ハードウェア構成は十分な性能を確保しつつ安定性重視
- 直感的に操作ができる完成度の高いソフトウェア。初心者でも扱いやすい
- 自社開発のアプリが充実。特にOffice互換アプリやバックアップ機能が優秀
- クラウドサービスとの連携が強力。スマホアプリも使いやすい
- 異なるサイズのドライブでもRAID構築が可能
- 日本法人があり、日本語でのサポートが充実
【総評】
- QNAPは、高性能なハードウェアと多彩なアプリで多目的に使いたい上級者向け
- Synologyは、ファイル管理やバックアップ、クラウド連携を重視。初心者でも使いやすい
新機能を搭載して多様な使い方ができるのがQNAP。
安定性を重視した設計とアプローチで初心者が最初に導入しやすいのがSynology。
あくまでもリサーチした情報から得た個人的な印象だが、デザインがおしゃれでスペックも高いQNAPは魅力的に映るので欲しいなぁとは思ったのは事実。
でも、初心者としては安定性と使いやすさ、日本語サポートもしっかりしているSynologyのモデルにした方がよさそう。価格はスペック分だけQNAP が高く、Synologyはコスパが高いので。
Synologyの2ベイor 4ベイ? メモリはどのくらい必要?
次のステップは、Synologyのどのモデルにするか。これってかなり重要。
安定感のあるSynologyのなかでも長期的に安心して使えるモデルにしたいし、その意味では基本スペックはやや高めで、メモリの増設など拡張性も意識する必要がありそう。
とりあえず、やりたいことができそうないくつかのモデルをピックアップしてみた。
SynologyのDS○○○とDS○○○+の違い
Synologyの個人やSOHO向けのDS(DiskStation)のラインナップをを見ていると、「DS423」や「DS423+」と「+」のありなしがある。また、DSに続く数字は4ベイのことで「DS223」は2ベイとなる。
では、「+」付きのDS Plusシリーズは何がよいのか? iPhone 16とiPhone 16 Proのようにかなりの差があるのか?
リサーチしてみると「+」付きモデルがすべてにおいて優れていた。
・高性能なCPUを搭載。メモリ容量も大きく、増設が可能
・高度なバックアップ機能が使え、対応アプリも多い
・LANポート数が多い
・総じて、同時に複数の処理をしてもパフォーマンス性能が高い
HDDの数と容量、搭載すべきメモリの最適解は?
SynologyのDS Plusシリーズには2・4・5・6・8・12ベイと6タイプあるが、HDDの数が増えるだけ容量も増えるが出費も増える。将来性を見込んで空けておくのもありだけど、そこまでしておく必要があるのか。
ということで、大容量のHDDを搭載することにして2ベイから選ぶことにした。「DS224+」と「DS723+」の2モデルだ。
Amazonの価格は、「DS224+」が4万8582円で、「DS723+」が7万9900円。
かなり開きがあるのはCPUに大きな違いがあるから。メモリはいずれも2GBだが、「DS224+」は最大6GBまで、「DS723+」が最大32GBまで&10GbEへ拡張できる。
ここはどう転がっても最初の一歩としてNASを導入するので「DS224+」で決まりでしょ。
しかし、自分が想定している使い方をする場合にHDDはどのくらいの容量が必要なのか、メモリも2GBからどれだけ増設すればいいのか、よくわかっていない。そこで相棒のPerplexityに相談してみた。
その結果は以下のとおり。
- HDD:8TB推奨。さまざまなソースからのバックアップを考慮すると4TB以上がおすすめ。将来的なデータ増加も見込んで、8TB以上あれば余裕を持って使用できます。
- メモリ:4GB以上推奨。複数のバックアップや共有機能を同時に実行してもスムーズに動作します。
Perplexityは回答のネタ元(出典先)を提示してくれるので、念のために確認してみると確かにそのとおりのように思えた。
【関連情報】
・DS224+
本当にSynology. DS224+ でいいのか? 最後の確認をしてみた
DiskStation DS224+の機能面を改めてチェック
「DiskStation DS224+」を導入してやりたいことは前述の通り。
では、しっかりとその役目を果たしてくれるのか。しかも、初心者でわかりやすくできるのか?
機能面を見ていくと、かなり簡単にできそうだ。
- AppleのTime MachineやiCloudのようにMacBook AirとiPhoneの自動バックアップが初期設定のみで可能。
- 一時保存用の外付けHDDやSSDは、まるごともしくはフォルダやファイルを指定して同期や定期バックアップが可能。
- 大量の写真を顔や背景などを認識してアルバムを自動作成。カスタマイズも可能。
- クラウドストレージとの同期が可能。
- 搭載しているUSB 3.2 Gen 1ポートが2つあり、追加のストレージとして外付けHDDやSSDを活用、カメラやUSBスティックなどUSBポート搭載のストレージから直接的にデータのアップロードやクイックコピーが可能。
- テレビ番組の録画や録画済みのコンテンツの保存が可能。
念のため、スペックも確認してみた
スペック表を見てもよくわらないので、気になる項目だけピックアップしてPerplexityに評価してもらった。
★CPU:Intel® Celeron® J4125
エントリーレベルのNAS向けプロセッサです。4コア/4スレッドで、2.0GHz〜2.7GHzで動作します。一般的な家庭用途やSMB向けのNASとしては十分な性能。
★対応ドライブ:2 x 3.5" または 2.5" SATA SSD / HDD
3.5インチと2.5インチの両方のSATA SSDとHDDに対応しているため、用途に応じて適切なドライブを選択できます。最大36TBまでのストレージ容量に対応しており、将来的な拡張にも余裕があります。
コスト効率が良く、大容量のストレージが必要な場合は3.5インチHDD。高速なデータアクセスが必要な場合や静音性を重視する場合は2.5インチSSD。1台をHDD、もう1台をSSDにすることで、容量と速度のバランスを取ることができます。
★ホットスワップ可能なドライブ あり
NASのシステムを停止せずにHDDの追加や交換が可能。HDDの故障時やストレージ容量の拡張が簡単にできます。ホットスワップ機能は、システムの安定性と管理の容易さを重視するユーザーにとって重要な機能の1つです。
★システムファン: 1 つ(92 x 92 x 25 mm)
2ベイNASとしては一般的なサイズと数です。CPUが低消費電力設計なので十分な冷却能力があると考えられます。Synologyの公式仕様によると、ノイズレベルは22 dB(A)。これは非常に静かなレベルで、一般的な会話音(60 dB)よりもはるかに小さい音量です。フルスピードモードとクールモードが用意されており、状況に応じて最適な冷却と静音性のバランスを取ることができます。
SynologyのNASではエントリーでありながら中級モデルに入るらしいので、初心者がゆえに若干の不安を感じつつも、それは使いこなしの問題なので購入することにした。
【関連情報】
・DiskStation DS224+
DiskStation DS224+と合わせて購入したアイテム
セール期間を狙って、DiskStation DS224+と同時に必要不可欠な内蔵HDDと増設メモリを購入した。
どうしてそのモデルの容量を購入したのか、その点も抑えておこう。
搭載するストレージは3.5インチHDD。単純にコスト優先での選択
Synologyによるテストと認証を受けているのは、HDDはSeagateとToshiba、Western Digital。
各メーカーで、ベーシックモデルとプロモデルを用意しているが、違いは対応している容量とベイの数、高い耐久性と信頼性。
「DiskStation DS224+」は2ベイだし、HDDは価格差もかなりあるのでベーシックモデルに。
Western Digitalの「WD Red Plus」と比較して、「Seagate IronWolf 3.5インチ 【データ復旧 3年付】8TB内蔵HDD」を購入した。
ポイントは、ほぼ同じスペックなのに3年間のデータ復旧サービスが無料で付帯され、購入時は千円単位で安価であったこと。Seagate の自動診断機能機能がDS224+でサポートされているので、HDDの潜在的な問題を事前に検知して故障を未然に防ぐことができることなど。
メモリはどのようなタイプのものを選べばまったくわからなかったが、既に使用中のYouTuberが動作確認を済ませていた「CFD販売 Panram ノートPC用 メモリ DDR4-2666 (PC4-21300) 8GB、 無期限保証 相性保証 D4N2666PS-8G」を購入した。
「DiskStation DS224+」の仕様では最大6GBとあるが8GBでも問題がないようだ。
【関連情報】
・Seagate IronWolf 3.5インチ 8TB内蔵HDD
・ DDR4-2666 (PC4-21300) 8GB、 D4N2666PS-8G
・WD Red Plus 3.5 インチ 8TB内蔵HDD
まとめ
NASを導入することにしてから約3カ月。Perplexityのおかげもあって、いろいろな視点からリサーチするこができた。
最適な買い物だったかはこれからわかることだが、Synologyのモデルにしたのはもう1つ理由があった。それはYouTubeのSynology公式チャンネルでNASのことやモデルの選び方、設定の方法などをわかりやすく解説してこと。古い動画もあるが基本的には現在でも同じ仕組みが多く、新しい機能もしっかりアップしているので今後参考になると感じたからだ。
実はすでに「DiskStation DS224+」とHDD×2台、増設メモリは自宅に到着している。
7月下旬から9月末まで、まとまった仕事でほぼ休みのない日々を送っていたので、この記事を公開してから設置をはじめる予定。
でもその前に、理想的な運用方法にするためにデータの整理とフォルダ構造をしっかり考えておかないと。微修正ならまだしも大幅に構造を変更するのは面倒だし。
もちろん、RAIDレベルやSynologyのアプリとファイルシステムなどをきちんと理解してから判断しないといけない。設置はしたとしても設定はその先になるかもしれない。
次回以降に続く…